藤原氏が指摘している5世紀から15世紀までの期間をまとめて中世と考えることにしよう。千年間もの大陸の歴史を一つの時代として取り上げることなんて、いきなりニュアンスに欠けており、最初からカリカチュアっぽいが、その辺はここでは仕方なく認め、大切なところにだけ焦点を当てよう。
先ず言えることはこれがローマ帝国崩壊後の時代だ。中世の「中」というのはローマ崩壊からルネサンス期の始まりの間を暗示して、二つのいわゆる黄金時代の間を指しているわけだ。
俗ではこの千年間を「暗黒時代」と言うことは未だにある。つまり、古代ローマやギリシアの学問と社会的秩序が乱れてしまったため、人々の心は迷信に支配され、ヨーロッパの諸国は完全に退化してしまった。大陸全土が無知・暴力・疫病に患われ、ルネサンス期の光がさしてくるまでは、どの民族もまるで闇の中をさまよっていたような状態だった。