私は国際結婚がどうのこうのという話が嫌いだ。
私はアメリカ人。
妻は日本人。
それだけのことだ。
かといって、「結婚」について話し合うのは嫌ではない。男女関係、子育て、老後の準備……。どれも万国共通の話題であり、世代を超えて誰もが興味を持つことだ。
しかし、「国際」という二文字が頭につくだけで、私はうんざりしてしまう。その理由には、私が結婚早々に受けてしまったトラウマがある。「トラウマ」と呼ぶのは大げさかもしれないが、とにかく、それは妻の友人(ここでは智子と呼ぶことにしよう)によるものだ。
学生の頃から妻と仲が良かった智子は、異常なほど私達の「国際結婚」にこだわっていた。たまたま結婚した男女としてではなく、私達夫婦をどうしても「一人のアメリカ人」と「一人の日本人」として見ていたようだ。そのせいか、「日本人は○○だけど、アメリカ人は○○だよね……」というふうに、智子はどんな話題の会話をしていても、「アメリカ人と日本人の違い」に話を結び付けようとした。